ノスタルジーの正体

近年ノスタルジーという言葉をよく目にする。考えれば考えるほど面白いノスタルジーの世界。ノスタルジーはどこからやってきて僕たちの存在をどう変えていくのか。

インターネット内のレトロの不思議

2010年ごろに発生したネットミームに「vaporwave」というものがあります。

80~90年代のAORなどのシティポップを低速にし、音をわざと劣化させたりしてループさせたものです。

 

このvaporwaveには結構支持者(しかも若者)が多くて、いろんな派生ジャンルが登場したりしながら今でもまあまあの人気コンテンツとなっております。

 

私がvaporwaveを知ったのは3年前ほどなのですが、えらく衝撃を受けまして。

「なんてかっこいいんだ!」

と戦慄してすぐにネットで調べまくったりしておりました。

 

レトロとかノスタルジーってすごいですよね。

現在20代の私は80年代のカルチャーや雰囲気をもちろん経験してないわけです。

なのに私たちは当時のプロダクトとかを見たりするだけで瞬間的にノスタルジックな世界に

飛ばされてしまいます。

 

 

 

私たちがノスタルジーを感じる時ってどんな時でしょう。

昔の写真を見た時、当時の音楽を聞いた時、懐かしい友人にばったりあった時...

これらは私たちの過去の経験から発動するノスタルジーだと思います。

 

ですが、こんな時にもノスタルジーを感じたことはないですか?

 

例えば、ボロボロの古い建造物を見た時。

おばあちゃんの使っていた古いお茶のポット。

旅行先で偶然立ち寄った閑散とした商店街。

 

これらは私たちを記憶や経験に関係なくノスタルジーな気分にさせてきますよね?

多分、私たちは風化したものを見たときに、その「もの」が経験してきた時間を瞬間に

想像してノスタルジーを補完しているんだと思うんです。

 

記憶を伴わない不安定なノスタルジー

vaporwaveではそんな風化した過去のテクノロジーを想起させるイメージを多用して

うまい具合にカッコいいアートワークやサウンドが作られています。

 

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https://apkpure.com/jp/vaporwave-wallpapers-backgrounds/com.steampower.VaporwaveWallpapersBackgrounds

ネオンを彷彿とするサイケカラー。

音にもアートにもグリッジ 加工を施すのが基本スタイル。

 

データは抹消されることはあっても風化することはないですよね。

あえてコンピュータメディアでそれをやるっていうのも面白いですね。